vol.5 引地渉/イラストレーター

紙にまつわるアーティスト

引地渉 イラストレーター

紙の表現はいつも自由

いままでのコラージュ作品のイメージに
新しい風を吹き込んだ引地さんの作品。
そこには新鮮なイメージの中にも、どこか懐かしさを感じます。
紙の素材を使いこなす自由な発想は
様々な経験から独自に磨いてきたものでした。

 

inter-vol5-hikichi-sakuhin
オチャノマートのためにオリジナルで書き下ろしてくれた作品です。
子どもを意識して、お菓子のパッケージなど、身近にある素材で作ってくれました!

紙の自由なところが魅力です

そもそもどうして紙で作品を作ろうと思ったんですか?
引地 イラストレーターになる前はデザイン事務所に務めていました。そこで、きれいな紙がゴミとして大量に出ていたんです。もったいないからそれで何かできないかなって思い、紙でコラージュを作り始めました。

紙で作品を作る魅力はどんなところですか?
引地

真っ白いキャンバスに筆を入れるのって、すごいプレッシャーがかかるんですよ。それがいつまでたっても慣れなくて。それに、絵の具できれいに均一に塗るのって難しいんですよね。それが、紙だと貼ればあっというまにきれいな色面ができあがるから、これはいいなと。
それと、手を使うこと、触覚を使うことは、絵の具で描いたり、コンピューターで描くのとは違う刺激があるかもしれないですよね。いつもと違う感覚を使うことになるかもしれないから、子どもにもいいと思います。加工が簡単だから、パッと思いついたアイデアが中断されないのも紙の魅力です。

あらゆる色や素材の紙をストックしてるんですか
引地 そうですね。パレットみたいに並べておくんです。素材ごととか、色ごとに分類しています。そこから選んで、組み合わせて使うという感じです。あまりたくさん色を使いすぎるとかっこ悪くなるので、なるべく同系色で統一して、赤など差し色でバランスをとります。

inter-vol5-hikichi

下書きをしてから作るんですか?
引地 僕はあまりしないですね。子どもが作る場合も、いきなり紙で始めた方が面白いかもしれません。例えば、紙を切ったり、貼ったりしながら、車を作ってみるとか。そのときに大事なのは、うまくいかなくても気にしなくていいということ。途中で車が動物になってもいいし、作るものが変わってもいいんです。絵の具だと途中で書き直すのは大変ですけど、紙はそれが柔軟にできる自由な素材なんですよね。やっぱりこれやめたって、つけたものをとっちゃったりとかすることもできるので。

立体作品はどうやって作りますか?
引地

プラモデルの影響が大きいですね。でもプラモデルのようにパーツで作っていくのではなく、全体を作りながら考えていくことが多いです。平面作品だとA4とか大きさが決まっているから、その中でバランスを考えればいいけど、立体作品はどんな角度から見てもかっこよく見えるように考えなきゃいけない。
裏側からも見れるように作るときもありますし、見て欲しい視点をどこにするのか迷いますね。

inter-vol5-hikichi-sakuhin4

細部まで作り込まれた立体作品。この作品が表紙になったのが下の小説

inter-vol5-hikichi-book6
『季節はうつる、メリーゴーランドのように』
岡崎琢磨・著 株式会社KADOKAWA

 

This entry was posted in . Bookmark the permalink.